コラム
子どものいびきと歯並びは関係する?矯正の前に保護者が知りたいこと

目次
子どものいびきと歯並び、寝息の動画を見返して気になったら
お子様が寝ているとき、いびきが気になったことはありませんか。「子どもでもいびきをかくものなの?」「毎晩続いていても大丈夫?」と心配になることもあるでしょう。
実は、子どものいびきには、鼻やのどの状態だけでなく、顎の発達や歯並びが関係している場合もあります。ただし、いびきの原因はさまざまで、歯並びだけで判断することはできません。
この記事では、子どものいびきと歯並びの関係、考えられる原因、家庭で確認しておきたい様子や相談先の選び方について解説します。いびきが続く場合は、矯正治療が必要かどうかを考える前に、まず原因を確認することが大切です。
この記事の要点まとめ
- 子どものいびきと歯並びには関連が報告されていますが、歯並びだけでは呼吸状態を判断できません。
- 鼻炎や扁桃・アデノイドなども要因となるため、寝息や日中の様子を記録して相談に役立てましょう。
- 症状に応じて小児科・耳鼻咽喉科・歯科へ相談し、矯正や経過観察を含む方針を確認します。
子どものいびきと歯並びには、どんな関係がある?

上顎の幅やかみ合わせと、空気の通り道
上顎の骨は、口の中の上側だけでなく、鼻の空間の底の部分も形づくっています。そのため、上顎の発達や骨格の形は、鼻の中の空気の通り道と関係することがあります。
実際に、複数の研究をまとめた系統的レビューでは、睡眠中の呼吸に問題がある子どもに、次のような歯並びやかみ合わせの特徴がみられることが報告されています1。
- 上顎の幅が狭い
- 奥歯のかみ合わせが横にずれている(交叉咬合)
- 上の前歯が前に出ている
また、6〜12歳の子どもを対象とした研究でも、睡眠中の呼吸に関する質問票の結果と、歯並びやかみ合わせの問題との関連が報告されています2。
ただし、こうした特徴があるからといって、必ず呼吸に問題があるわけではありません。反対に、歯並びに目立った問題がなくても、睡眠中の呼吸に問題が生じることはあります。いびきの原因を調べるには、歯並びだけでなく、鼻やのどの状態なども含めて確認することが大切です。
口ぽかん・舌の位置は、何を示す手がかり?
日中も口が開きがちで、舌が下の前歯の裏に落ちている。食べるときにくちゃくちゃと音がする。こうした口の使い方は、口呼吸や口腔機能の発達を考えるうえでの観察項目になります3。
鼻呼吸には、吸い込む空気を加湿する働きがあります。口呼吸が続くと口の中が乾き、むし歯や歯ぐきの炎症にも影響しやすくなります4。舌が上顎に触れる位置にあるかどうかも、上顎の成長との関わりから注目される点です。
とはいえ、口を開けて寝ていることだけで、口腔機能発達不全症と判断されるわけではありません。食べる・話す・呼吸するといった機能を、歯科で複数の項目から確認したうえで診断されます3。
「いびきがあるなら矯正が必要」は早合点
お子様にいびきがあるからといって、必ずしも矯正治療が必要なわけではありません。いびきには歯並びや顎の発達だけでなく、鼻づまりや扁桃の肥大など、さまざまな要因が関係している可能性があります2。
研究では、子どものいびきなどの睡眠中の呼吸の問題と、歯並びやかみ合わせとの関連が報告されています。しかし、歯並びが呼吸に影響しているのか、口呼吸などの習慣が歯並びに影響しているのかといった因果関係は、まだ十分に明らかになっていません1。
そのため、いびきが気になる場合は、歯並びだけで判断せず、鼻やのどの状態も含めて原因を確認することが大切です。矯正治療が必要かどうかは、その結果を踏まえて検討します。
歯並び以外にもある、子どものいびきの要因
風邪や鼻炎で鼻が通りにくいとき
鼻が詰まると、体は自然と口から息をしようとします。風邪をひいている数日間や花粉の季節に、いびきが大きくなるのはそのためです。
アレルギー性鼻炎のように鼻づまりが長引く場合は、口呼吸の期間も長くなり、寝息に影響が出やすくなります5。ここで振り返りたいのは、鼻の症状が落ち着いた後も、いびきが残っているかどうかです。鼻の通りが主な要因であれば、まず鼻への対応が優先されます3。
扁桃・アデノイドが気になるとき
のどの両脇にある口蓋扁桃や、鼻の奥にあるアデノイドは、幼児期から学童期にかけて大きくなりやすい組織です。これらが大きいと空気の通り道が狭くなり、いびきや睡眠中の呼吸の乱れにつながることがあります5。前述の研究でも、扁桃の大きさは、睡眠中の呼吸と歯並びの関係を考える際に影響し得る要因として扱われていました2。
アデノイドは口を開けても見えません。扁桃の大きさも、家庭での見た目や歯並びからは判断できません。鼻声が続く、口を閉じると苦しそうにするといった様子があれば、耳鼻咽喉科への相談を検討してください。
学校健診で指摘がなくても、寝姿は別に伝える
学校の歯科健診は、むし歯や歯並び・かみ合わせを短時間で確認する場です6。睡眠中の呼吸までは確認していないため、「健診で何も言われなかった」ことと「寝ているときの呼吸に気になる点がない」ことは別の話になります。
撮影した寝息の動画や、先生から伝えられた授業中の眠気は、相談の際に役立つ情報です。歯並びの話とあわせて、寝姿の様子も一緒に伝えてみてください3。
いびきが続くとき、家庭では何を見て相談する?

鼻づまりが治まってもいびきが続くか
子どものいびきは、体調によって大きく変わります。風邪のときだけ音が大きくなり、鼻水が止まれば静かな寝息に戻るのであれば、一時的な変化と考えられる場合もあります。
反対に、次のような場合は相談を考えたいタイミングです5。
- 鼻の症状がないのに、週に何日もいびきが続く
- 季節を問わず、いびきを繰り返す
ただし、「週に何回以上なら受診」という一律の線引きがあるわけではありません。回数は目安のひとつにとどめ、寝ている間の息づかいや日中の様子とあわせて見ていきましょう3。
呼吸が止まる・苦しそう・日中も眠そうな場合
いびきに加えて次のような様子が見られる場合は、医療機関への相談を早めに検討してください。
- いびきが途切れ、数秒ほど呼吸が止まったように見える
- 胸やおなかがへこむような、苦しそうな息づかいがある
- 寝返りが多い、首を反らせて寝る、寝汗が目立つ
- 朝起きにくい、日中の眠気や集中しにくさが続く
これらは睡眠時無呼吸症候群などを考える際の手がかりになりますが、家庭で診断できるものではありません5。唇や顔色が青白く変わる、強い息苦しさがあるといった場合は、記録を待たずに速やかに医療機関へ連絡してください。
毎晩見守れなくても残せる、動画と短い記録
共働きで毎晩見守るのは難しくても、記録は短くて構いません。スマートフォンのメモやカレンダーに、次の項目を一言ずつ残しておくと、相談の際に伝えやすくなります。
- いびきがあった日と、そのときの鼻づまりの有無
- 寝姿(口が開いていたか、横向きか仰向けか)
- 息づかいで気になった点
- 起きたときの様子、学校から伝えられたこと
動画は、いびきが聞こえたタイミングで30秒〜1分ほど撮れれば十分です。胸の動きがわかる程度の明るさがあると、より参考になります3。記録がそろうまで受診を待つ必要はありません。数日分でも、手元にある情報を持って相談してください5。
箕面市で子どものいびきと歯並びを相談するには
鼻・のど、全身の様子、歯並びで相談先を考える
気になる点によって、相談先は次のように分けて考えられます56。
- 鼻づまりやのどの腫れ:耳鼻咽喉科
- 睡眠中の呼吸や日中の眠気など、体全体の様子:小児科
- 顎の大きさやかみ合わせ、口の使い方:歯科
気がかりが複数ある場合も、最初に受診した医療機関ですべて伝えておくと、必要に応じて別の診療科との連携を考えてもらいやすくなります3。
歯科では顎・かみ合わせ・口の使い方をどう確認する?
歯科での確認は、保護者の方への問診と口の中の診察が基本です。歯並びやかみ合わせ、舌や唇の動き、口の乾燥、むし歯や歯ぐきの状態を見ていきます43。
そのうえで、成長の段階や症状に応じて、検査の必要性を検討します。たとえば、歯型を記録する口腔内スキャナー、顎の骨格と気道の位置関係を確認できるセファロ(頭部X線規格写真)、歯科用CTなどです6。撮影は一律に行うものではなく、目的を説明したうえで判断します。当院では、痛みや見た目への対応だけでなく、なぜその状態になったのかを考えることを診療方針としています。
矯正や口の機能の練習は、いびきに役立つ?
上顎の幅を広げる小児矯正や、あいうべ体操などの口の機能の練習が検討されることはあります。ただ、鼻やのどに要因がある場合は、そちらの確認が先です3。いびきへの影響には個人差があり、研究でも関連が示されている段階にとどまります12。
相談したからといって、その場で治療を始めるわけではありません。経過観察も、十分に考えられる選択肢のひとつです。
箕面市で受診日を決める前に伝えておきたいこと
仕事や下のお子様の送迎を調整して受診する場合は、予約の時点で「いびきと歯並びの両方を相談したい」と伝えておくと、当日の時間配分を考えてもらいやすくなります。
当院への相談に限らず、初診時にはいびきの様子や歯並びで気になる点を伝え、検査結果の説明を受ける際には今後の方針も確認しましょう。きょうだいで来院する場合は、予約時に伝えておくとよいでしょう。
箕面市にお住まいで歯並びも気になっている場合は、ヨクシオ歯科箕面萱野を含め、生活の動線のなかで通いやすい歯科医院を選んでください。受診の際は、撮りためた動画と記録を持参すると相談がスムーズです36。
よくある質問
Q. 母親の歯並びは子どもに遺伝しますか?
A. 顎の大きさや形といった骨格の特徴は、親子で似ることがあります。ただし、歯並びには口呼吸や舌の位置、指しゃぶりなどの習慣も関わるため、遺伝だけで決まるものではありません。気になる場合は、ご家族の歯並びについても相談の際に伝えてください。
Q. 歯科矯正は何歳ごろから相談できますか?
A. 開始時期は、お子様の成長や歯並びの状態によって異なります。顎の成長を利用する治療は、乳歯と永久歯が混在する6〜10歳ごろに検討されることがあります。相談はそれより早くても構いません。相談したからといって、すぐに矯正を始めるとは限りません。
Q. 子どもがいびきをかいて眠りにくそうなときは、どうすればよいですか?
A. 鼻づまりがあれば鼻のケアを行い、寝室が乾燥しすぎないよう調整してください。横向きで寝ると楽そうにする場合もあります。苦しそうな様子が続くときは、小児科や耳鼻咽喉科に相談してください。呼吸が止まるように見える、顔色が変わるといった様子があれば、速やかに医療機関へ連絡してください。
参考文献
1. Hansen C, Markström A, Sonnesen L. Sleep-disordered breathing and malocclusion in children and adolescents-a systematic review. Journal of oral rehabilitation. 2022. PMID: 34779522 / DOI: 10.1111/joor.13282
2. Shirke SR, Katre AN. Association of Sleep-Disordered Breathing and Developing Malocclusion in Children: A Cross-Sectional Study. Cureus. 2023. PMID: 37397676 / DOI: 10.7759/cureus.39813
3. 日本小児歯科学会 https://www.jspd.gr.jp/
4. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
5. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
6. 公益社団法人 日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/
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